民泊をトラブルなく始めるための基本と注意点
近年、空き家や自宅の一部を活用して「民泊(みんぱく)」を始める方が増えています。
しかし、民泊は「気軽に始められる副業」ではなく、法律上の届出や設備要件を満たさなければ営業できない事業です。ここでは、行政書士の立場から、民泊を始める前に知っておきたい「10か条」を解説します。
1. 営業形態を正しく区分する
まず確認すべきは、自分の民泊が「旅館業法」に基づくものか、「住宅宿泊事業法」に基づくものか。
営業日数や運営方法によって求められる許可・届出が異なります。
2.住宅宿泊事業の届出を行う
「住宅宿泊事業法」に基づく民泊の場合は、都道府県や指定都市への届出が必要です。
届出完了前に運営サイトへ掲載したり、予約を受け付けると違法になります。
3.管理・仲介業者の登録を確認する
管理を委託する場合は「住宅宿泊管理業者」、仲介を依頼する場合は「住宅宿泊仲介業者」として国の登録を受けているか確認しましょう。
無登録業者への委託は処罰対象になります。
4.年間営業日数の上限(180日ルール)を守る
住宅宿泊事業では、営業できるのは年間180日以内。
それを超えると旅館業法の許可が必要になります。
日数管理は必ずシステムなどで行いましょう。
5.近隣住民への説明と苦情対応体制を整える
民泊トラブルの多くは「騒音」「ごみ出し」「出入りの多さ」など。
開業前に近隣へ説明・周知し、苦情対応の連絡先を明示しておくことが重要です。
6.消防・防災設備を整備する
火災報知器、消火器、避難経路表示などの設置が義務づけられています。
事前に消防署の指導を受け、消防計画の届出を忘れないようにしましょう。
7.衛生管理・清掃体制を確立する(HACCPの考え方)
寝具やトイレ・浴室などの衛生を保つために、定期的な清掃・消毒を行います。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理が求められます。
8.宿泊者名簿を作成・保存する
宿泊者の氏名、住所、職業、国籍、旅券番号(外国人)を記録し、帳簿を3年間保存します。
これは警察や保健所の調査にも必要となる法的義務です。
9.関係機関との連携を意識する
保健所、消防、警察、自治体など関係機関への報告や立入検査に対応できる体制を整えましょう。
適正な運営体制は、信頼される民泊経営の基盤になります。
10.リスクに備えて保険に加入する
火災、破損、盗難、宿泊者の事故など、万一のトラブルに備えましょう。
民泊専用保険(損害・賠償補償)への加入がおすすめです。
まとめ

