行政書士 佐野徳司 RTT行政書士事務所

墨田区の民泊規制強化を乗り越える!簡易宿所ではなく「旅館・ホテル営業」への転換が有利な理由

はじめに

 

墨田区では2026年4月の条例改正により、家主不在型の新法民泊に対する平日営業禁止など、規制が大幅に強化されました。

 

この影響で、年間を通じて安定した収益を確保するために、旅館業法に基づく許可への切り替えを検討するオーナー様が急増しています

 

しかし、一見ハードルが低そうな「簡易宿所」への転換は、構造上の理由から極めて困難なのが実情です。

 

本記事では、旅館業法の基本を押さえつつ、「マンションの一室」と「一軒家」それぞれの物件特性に応じた「旅館・ホテル営業」への転換戦略と、最新の手引きで重要視されているゴミ処理対策について詳しく解説します。

 

1.旅館業法における営業種別の違い

 

まず、ご自身が検討されている施設がどちらに該当するか、基本的な区分を確認しましょう。2018年の法改正により、現在は大きく分けて「旅館・ホテル営業」と「簡易宿所営業」の2区分が主流となっています。

 

⑴ 旅館・ホテル営業

 

➀ 定義
施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業。原則として個室タイプ。

 

➁ 客室面積
1客室あたり原則9平方メートル以上(寝台がない場合は7平方メートル以上)。

 

⑵ 簡易宿所営業

 

➀ 定義
宿泊する場所を多人数で共用する構造(相部屋など)で、人を宿泊させる営業。

 

➁ 客室面積
延床面積が3.3平方メートル以上(多数の宿泊者を泊める場合)。

 

2.マンションの一室で申請する場合のポイント

 

分譲マンションの一室などで民泊を行っていた場合、簡易宿所への転換は非常に困難ですが、旅館・ホテル営業であれば既存の間取りを活かせる可能性が高くなります。

 

⑴ 簡易宿所への変更が難しい理由

 

水回りの独立性

 

簡易宿所の場合、トイレ、洗面所、脱衣所をそれぞれ独立させる必要があり、大規模なリノベーション費用が発生します。

 

また、同じ部屋に同時に別のグループを宿泊させる前提があるため、2つの独立した水回りが必要となるケースがあります。

 

1LDKから3LDKといった一般的な分譲マンションの構造では、この基準を満たすのは極めて困難です。

 

⑵ 旅館・ホテル営業への切り替えが有利な理由

 

➀ 構造基準の柔軟性
水回りの独立性について、旅館・ホテル営業は簡易宿所ほど厳しい制約を受けません。そのため、既存の間取りを最大限に活かしたまま許可取得を目指せます。

 

➁ 設備投資の抑制
通信・防犯設備の整備が主眼となります。具体的には、降り口(玄関)への監視カメラ設置や、各客室から管理者と連絡が取れる電話設備の導入などです。
(注:4月以降の申請では、管理者の常駐や待機所、別トイレの設置などが必要となる点に注意が必要です)

 

3.一軒家(戸建住宅)で申請する場合のポイント

 

一棟丸ごと貸し出す一軒家の場合、マンションとは異なる戸建ならではの構造基準や設備要件をクリアする必要があります。

 

⑴ 各階トイレ(便所)の設置基準

 

➀ 自治体の多くは、条例で「宿泊者が使用する階ごとに、適当な数の便所を設けること」を定めています。
例えば、2階や3階に客室(寝室)がある場合、その階にもトイレを設置するよう指導されるケースがほとんどです。
元々1階にしかトイレがない一軒家の場合は、増設工事が必要になる可能性が高くなります。

 

➁ トイレの中にある手洗いとは別に、独立した流水式の洗面設備を宿泊定員に見合った数だけ設ける必要があります。

 

⑵ 建築基準法(階段・用途変更)の壁

 

➀ 階段の寸法基準 住宅用の階段は、旅館・ホテル用の階段よりも傾斜が急で、一段の高さや踏面の幅の基準が緩く作られています。
  2階以上を客室にする場合、既存の階段のサイズが旅館業の基準を満たしていないと、階段の架け替えという大規模工事が発生するリスクがあります。
➁ 用途変更の申請 建物の延床面積が200平方メートルを超える場合、住宅からホテル・旅館への用途変更の建築確認申請が必要となります。

 

4.共通する許可取得の重要な要件(消防法・立地・ゴミ処理対策)

 

物件の形態に関わらず、以下の基準をクリアする必要があります。

 

⑴ 消防法基準

 

住宅用の特定小規模施設用のものではなく、原則として建物全体に連動する本格的な自動火災報知設備の設置が必要です。
また、各階の通路や客室への非常用照明(バッテリー内蔵型)の設置、誘導灯の設置、防炎物品(カーテンやじゅうたん)の使用が義務付けられます。

 

⑵ 立地基準

 

第一種・第二種低層住居専用地域などの住居専用地域では、原則として旅館業の営業はできません。周辺の用途地域を事前に確認する必要があります。

 

⑶ 廃棄物(ゴミ)の処理方法(最重要)

 

宿泊事業から出るゴミは、一般家庭のゴミではなく事業系廃棄物となるため、民間業者への委託等による自己処理が原則となります。
最新の墨田区の手引きでは、事前に清掃事務所との打ち合わせや現地確認が必須です。
道幅や立地などから民間委託が不可能で、清掃事務所がやむを得ないと認めた場合に限り区収集の特例が適用されますが、1回の排出量(45リットル袋で5袋まで)や有料ごみ処理券の貼付、排出時間(当日朝8時まで)など、非常に厳しいルールを守る必要があります。

 

5.許可申請の一般的な流れ

 

実際の申請は以下のステップで進めます。

 

⑴ 事前相談と現地確認(最重要)

 

物件の改修に手を付ける前に、必ず保健所、消防署、建築指導課、そして清掃事務所へ相談に行きます。ゴミの排出場所や収集ルートについて、担当者立ち会いのもと現地確認を行います。

 

⑵ 書類作成・申請

 

申請書、図面、付近の見取図のほか、ゴミの民間委託契約書の写し(または区収集の事前相談記録書)などを保健所に提出します。

 

⑶ 施設検査

 

保健所や消防署の職員が実際に現地へ来て、図面通りか、基準を満たしているかチェックします。

 

⑷ 許可証交付

 

検査合格後、通常1から2週間程度で許可証が発行され、営業開始となります。

 

まとめ

 

墨田区での民泊規制強化を乗り越え、365日フル稼働での安定経営を目指すには、構造変更のハードルが高い簡易宿所ではなく、旅館・ホテル営業への転換が極めて現実的かつ賢明な判断といえます。

 

マンションであれば既存の間取りの活用、一軒家であれば各階のトイレ増設や階段の構造確認など、物件ごとに押さえるべきポイントは大きく異なります。

 

さらに最新の基準では、周辺住民とのトラブル防止のための清掃事務所との事前調整も合否を分ける重要ポイントです。

 

当事務所では、墨田区の地域特性や最新の手引きに合わせた最適な申請戦略を、ゴミ処理対策も含めて総合的にサポートいたします。

 

まずは一度お気軽にご相談ください。

 

許認可申請についてご相談のある方は

行政書士 佐野徳司 RTT行政書士事務所
電話:03-6657-5593
FAX:03-6657-4858
メール:お問い合わせフォームよりご連絡ください

 

上部へスクロール