はじめに
ご家族が亡くなられた後の相続手続きは、戸籍謄本の収集や預貯金の解約、遺産分割協議書の作成、自動車の名義変更など多岐にわたり、何から手をつければよいか迷われる方も少なくありません。
行政書士は、これら身近な相続手続きの書類作成や調査を幅広くサポートできる身近な街の法律家です。
本記事では、相続全般において行政書士が対応できる具体的な業務範囲や、平日に動けない方に便利な車の名義変更・出張封印の活用法について解説します。
1.相続手続きにおいて行政書士ができる主な業務
⑴ 相続人の確定と財産の調査
① 戸籍謄本等の収集と相続関係説明図の作成
・被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や、相続人全員の戸籍を取り寄せて法的な相続人を確定させます。
・集めた戸籍をもとに家系図のような「相続関係説明図」を作成し、各種機関への提出書類を整えます。
② 相続財産の調査と財産目録の作成
・預貯金通帳の記帳確認や残高証明書の取得、不動産の固定資産評価証明書の取り寄せなどを代行します。
・把握した遺産の内容を一覧にまとめた「財産目録」を作成し、遺産分割の話し合いをスムーズに進める土台を整えます。
⑵ 遺産分割協議書の作成と名義変更サポート
① 法的効力を持つ遺産分割協議書の作成
・相続人全員で合意した分割内容をもとに、不備のない正確な「遺産分割協議書」を作成します。
・将来的なトラブルを防ぐ文言を盛り込み、署名・実印の押印を取りまとめます。
② 金融機関の解約・名義変更手続き
・銀行や信用金庫、証券会社などの口座凍結解除、残高の払い戻しや解約手続きを代行します。
2.車両の相続(移転登録)と行政書士の強み
⑴ 自動車の名義変更に必要な手続きの流れ
① 保管場所を証明する車庫証明の取得
・車を引き継ぐ新所有者の自宅住所を管轄する警察署へ、事前に車庫証明(自動車保管場所証明書)の申請を行います。
② 運輸支局への移転登録申請
・遺産分割協議書や戸籍謄本一式、印鑑証明書などを揃え、管轄の運輸支局(自動車検査登録事務所)へ申請書を提出して新しい車検証の交付を受けます。
⑵ 自宅でナンバー交換ができる「出張封印」の代行
① 平日に車を陸運局へ持ち込む手間をゼロに
・通常、管轄が変わってナンバープレートの変更が必要な場合、平日の日中に車を陸運局まで運転して持ち込み、後部ナンバーに「封印」を取り付けてもらう必要があります。
・丁種会員の資格を持つ行政書士であれば、ご自宅や契約駐車場まで新しいナンバープレートと封印を持参し、その場で取り付け作業を行う「出張封印」が可能です。
② 仕事を休まずスムーズに名義変更が完了
・陸運局の窓口が空いている平日に休みを取るのが難しい方や、遠方まで慣れない運転をするのが不安なご遺族の大きな負担軽減につながります。
3.各種士業の対応範囲と行政書士の役割
⑴ 相続手続きにおける士業ごとの違い
① 各専門家の主な担当分野
・行政書士:遺産分割協議書の作成、戸籍収集、自動車の名義変更・出張封印、銀行口座の解約手続きなど。
・司法書士:不動産(土地・建物)の相続登記(法務局での名義書換)。
・税理士:相続税の試算および申告書の作成・提出。
・弁護士:相続人同士で争いが生じた場合の調停・訴訟や代理人交渉。
⑵ 士業別の業務対応比較まとめ
手続き項目 |
行政書士 |
司法書士 |
税理士 |
戸籍収集・相続人調査 |
〇 |
〇 |
〇(※付随業務) |
遺産分割協議書の作成 |
〇 |
〇 |
〇(※付随業務) |
自動車名義変更・出張封印 |
〇 |
× |
× |
銀行口座の解約代行 |
〇 |
〇 |
× |
不動産の相続登記 |
×(提携連携) |
〇 |
× |
相続税の申告 |
×(提携連携) |
× |
〇 |
※相続税申告をする場合
まとめ
相続手続きは、戸籍収集から預貯金の解約、自動車の名義変更まで幅広く、行政書士に相談することで煩雑な手続きを円滑に進めることができます。
特に普通自動車のナンバー変更を伴う相続の場合、ご自宅でナンバー交換が完結する出張封印は非常に大きなメリットです。

