はじめに
改正風営法の施行から時間が経過した現在、
警察当局による監視と取締りは一層の本格化を見せています。
令和8年(2026年)10月には、警視庁により改正法に基づく新規定を直接適用した注目の摘発が行われるなど、法適用の現場は新たな局面を迎えました。
ガールズバーやコンカフェの無許可営業にとどまらず、
売掛金や性風俗店勤務要求を巡る悪質事案の厳罰化が急速に進んでいます。
本稿では、直近の摘発動向を踏まえ、
飲食店・接待飲食店が遵守すべき重要ポイントを詳しく解説します。
1.令和8年10月時点における最新摘発事案の動向
⑴ 改正法による性風俗店勤務要求等の初摘発(令和8年10月中旬・警視庁)
① 事案の概要 ・ 新宿・歌舞伎町のホストクラブ元従業員が、
飲食料金の支払いを目的として女性客に性風俗店での勤務を要求したとして、
風営適正化法違反(禁止行為)容疑で逮捕されました。
・ 改正法で新設された「支払いのための性風俗店勤務要求の禁止」規定を直接適用した警視庁初の逮捕事例として大きく報じられています。
② 関連業者(スカウト役)の同時摘発
・ 本件では、女性客を性風俗店に紹介・斡旋したスカウト役の男も職業安定法違反(有害業務の紹介)容疑で同日に逮捕されました。
・ 店舗側だけでなく、スカウトバック等の紹介構造そのものを取り締まる方針が明確に示されています。
③ 店舗に対する行政処分の連動
・ 男が以前勤務していた歌舞伎町の店舗2店に対しては、東京都公安委員会から再発防止を求める指示処分が下されており、個人の刑事責任追及にとどまらず店舗本体への行政処分も連動しています。
⑵ ガールズバー・コンカフェの無許可接待に対する集中取締り
① カウンター越し営業の実態判断
・ 深夜酒類提供飲食店として届け出ながら、カウンター越しに継続的な談笑や特定客へのゲーム等を行っていた店舗に対し、風俗営業1号無許可営業としての摘発が相次いでいます。
・ 「カウンターがあるから風俗営業ではない」という主張は警察の実態調査において一切通用しません。
② 法人重科の適用と書類送検
・ 行為者個人(店長や店員)の逮捕に加え、無許可営業を行った運営法人そのものに対して最大3億円の罰金刑を科す法人両罰規定が積極的に適用されています。
・ 店舗の屋号を変えても同一グループや法人が行政処分歴を引き継ぎ、将来の営業継続が不可能になる連鎖処罰のリスクが顕在化しています。
⑶ 規制対象行為と法定刑の比較主な違反行為と科される罰則の基準は下表のとおりです。
違反区分 |
主な具体例 |
法定刑(個人) |
法定刑(法人) |
無許可風俗営業 |
接待型ガールズバーやコンカフェの無許可営業 |
5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり) |
最大3億円の罰金 |
性風俗店勤務等の要求 |
売掛金回収目的での性風俗・売春の要求 |
懲役刑または罰金刑(行為態様により併科) |
指示処分・営業停止・許可取消し等の行政処分 |
威迫等による支払請求 |
恐怖心を与える威迫的な取り立て、長時間拘束 |
刑事処罰の対象(風営法22条の2等) |
指示処分等の対象 |
2.店舗経営者が直ちに見直すべき実務管理
⑴ 接待行為の完全排除または1号許可への移行
① 営業実態の再点検
・ スタッフが特定の客に付きっきりで話をしていないか、客と一緒にお酒を飲んで歓談していないか等、現場のオペレーションを精査する必要があります。
② 適切な許認可取得
・ 接待を伴う営業を前提とする場合は、用途地域や営業可能時間(原則午前0時まで)の要件をクリアした上で、風俗営業1号許可を取得しなければなりません。
⑵ 売掛(ツケ)管理と従業員のコンプライアンス教育
① 支払督促ルールの厳格化
・ 威迫的な連絡や感情的な金銭要求は法律で明確に禁止されています。適法な民事的手続きに沿った管理基準を策定することが急務です。
② 紹介行為(スカウトバック)の根絶
・ 従業員が客に対して性風俗店等への就業を促す行為は、店舗の存続を脅かす重大な犯罪行為となるため、就業規則等で厳禁であることを周知徹底する必要があります。
まとめ
令和8年10月の摘発事例が示すとおり、警察当局は現場の形式的な弁明を認めず、実態に基づいた厳正な法適用を貫いています。
無許可営業による法人罰金や、禁止行為による経営者・従業員の逮捕は、事業を一瞬で破綻に追い込みます。
適法な営業スタイルの見直しや、風俗営業許可への切り替え、深夜酒類届出の適正管理については、リスクが表面化する前に風営実務に精通した行政書士までお早めにご相談ください。

