はじめに
外国人観光客の急増に伴い、民泊ビジネスが再び注目を集めています。
しかしその一方で、法令違反による行政指導や摘発のニュースも絶えません。
無許可営業はもちろん、届出済みの事業者であっても報告義務違反などで営業停止命令を受けるケースが増えています。
今回は、実際に起きた民泊の行政指導・摘発事例を分類して解説し、
安全な事業運営のためのポイントをお伝えします。
1.住宅宿泊事業法(民泊新法)違反・虚偽報告の事例
➀ 荒川区:上乗せ条例違反と虚偽報告で強制捜索・書類送検
自主条例で「週末のみ」営業が許可されていたエリアで平日も違法営業を実施。
自治体に虚偽の宿泊実績を報告し、業務改善命令にも従わなかったため、
警視庁による家宅捜索を経て運営会社および経営者らが書類送検されました。
背景には近隣住民からの騒音やゴミに関する通報がありました。
➁ 新宿区:定期報告の未提出に対する「業務停止命令」と「事業廃止命令」
2ヶ月に1回の定期報告を連続で怠り、改善命令にも応答しなかった事業者に対し、
12事業者・22施設へ30日間の業務停止命令が発出されました。
さらに停止期間中に営業を継続した4事業者・11施設に対しては「事業廃止命令」が出され、
事業者名が公示されるとともに3年間の再営業が不可となりました。
2.旅館業法違反(無許可営業・無届営業)の事例
➀ 港区・台東区:上場企業子会社による無許可営業(書類送検)
民泊の運営支援を謳う事業者が、実質的に無許可で宿泊施設を運営していたとして警察の捜索を受け、
法人および役員・従業員が書類送検されました。
代行や仲介であっても実質的な運営に関与していれば刑事責任が問われます。
➁ 京都市:賃貸マンション一棟(36室)の無許可民泊化(書類送検)
不動産管理業者らが連携し、入居者の少なかった新築賃貸マンションの36室を
無許可で外国人観光客向け民泊として運用。
関係者3名が書類送検されました。
3.その他の法令・規約違反に伴う事例
➀ 消防法違反・事故発生による摘発
消火器や自動火災報知設備などの必須設備を設置せずに無届営業を行っていた場合、
100万〜500万円規模の罰金や即時の営業停止命令の対象となります。
➁ マンション管理規約違反(民事上の差止め・損害賠償)
管理規約で民泊禁止が明記されているにもかかわらず営業を継続し、
管理組合から提訴されて営業差止めや数百万規模の損害賠償命令が出された判例が存在します。
4.主な発発覚ルートと傾向
行政指導や摘発に至る主なきっかけは以下の3点です。
➀ 近隣住民からの騒音・ゴミ出しに関する通報・苦情
➁ 保健所など行政による定期パトロールや立入検査
➂ 仲介サイトの掲載情報や税務データとの照合
まとめ
民泊事業で成果を上げるためには、収益性だけでなく徹底したコンプライアンス遵守が不可欠です。
「知らなかった」では済まされず、近隣トラブルや手続きの不備が事業中断や刑事処罰につながるリスクがあります。
消防設備の手配や自治体独自のルール(上乗せ条例)の把握、定期報告の徹底など、事前に確実な法的手続きを踏むことが大切です。
民泊の届出や許可申請でお困りの際は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。

