はじめに
私、行政書士(日本行政書士会連合会に所属)も個人事業主で言わばフリーランスと同様のため、単発の契約の場合は1件ずつ、委任契約を交わしております。
また、継続的な顧問契約や委託契約時にも必ず包括の契約書を交わしております。
「信頼しているから」「言い出しにくいから」と、契約書を交わさず仕事を始めていませんか?
実は、口約束はトラブルの元です。2024年施行のフリーランス保護法により、書面化は今や当然のルール。
自分を守るための新法の知識と、契約の重要ポイントを行政書士が解説します。
1.なぜ「口約束」ではいけないのか(基礎知識)
フリーランスにとって、契約書は単なる書類ではなく「自分を守るための盾」です。
口約束だけで進めることには、以下のような大きなリスクが潜んでいます。
⑴ 「言った!言わない!」の防止
報酬額、修正回数、稼働時間など、人間の記憶は時間が経てば曖昧になります。
書面がないと、後から「そんな話は聞いていない」と言われた際に反論できず、泣き寝入りすることになりかねません。
⑵ 責任の範囲を明確にする
万が一、施術でトラブル(肌荒れや怪我、アレルギー反応など)が起きた際、どちらが責任を負うのか決めておかないと、個人では抱えきれない多額の損害賠償を請求される恐れがあります。
⑶ 「フリーランス保護法」の活用
2024年11月に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法(新法)」により、発注側には書面(またはメール)での条件明示が義務付けられました。
これを知っているだけで、相手に対して「法律で決まっているので書面をお願いします」と、交渉を有利に進める強い武器になります。
2.契約書に必ず入れるべき「守りの5項目」
新法を踏まえ、特にトラブルになりやすい以下の項目を契約書に明記しましょう。
項目 |
記載のコツ |
業務の具体的範囲 |
美容師なら「カットのみか、カラーも含むか」など、追加料金が発生する境界線を明確に。 |
報酬と支払日 |
「〇日締め翌月〇日払い」と明記。振込手数料の負担も忘れずに。 |
経費と材料費 |
ハンドメイドの資材や美容の薬剤など、どちらが負担するかで利益が大きく変わります。 |
キャンセル料・返品 |
当日キャンセルや、正当な理由のない「やり直し」を制限する条項を入れます。 |
中途解約のルール |
6ヶ月以上の継続契約を解除する場合、原則30日前までの予告が必要です。 |
3.職種別「あるある」トラブルを防ぐ特約
⑴ 美容・ヘアメイク・ネイリスト
施術トラブル時の賠償責任の範囲(「報酬額を上限とする」など)。
⑵ 占い・講師業
独自ノウハウの流出防止、契約終了後の顧客引き抜き禁止の有無。
⑶ 販売・ハンドメイド作家
販売権や著作権が自分に残るのか、相手に移転するのかの確認。
4.交渉をスムーズにする「魔法のフレーズ」
「契約書をください」と言いにくい時は、新法を理由にするのがスマートです。
「2024年11月からフリーランス保護法が施行され、発注側にも条件明示の義務ができました。
お互いのコンプライアンスのために、形式を整えておきませんか?」
このように伝えれば、相手も「しっかりしたプロだ」と信頼を寄せてくれるはずです。
おわりに
契約書は相手を疑うためのものではなく、お互いが安心して長く良い関係を築くための「ルールの確認」です。
もし契約内容で不安なことや、相手との交渉が進まない場合は、専門家である行政書士へお気軽にご相談ください。
あなたの正当な権利と大切な仕事を守るお手伝いをいたします。

