はじめに
相続が発生した際、真っ先に行うべき重要なステップが「相続人の確定」です。
遺産分割協議を行うにも、名義変更をするにも、まずは誰が相続人かを証明しなければなりません。今回はその具体的な流れと注意点を詳しく解説します。
1.相続人確定までの基本的な流れ
相続人の特定は、単に家族の記憶を頼りにするのではなく、**公的な書類(戸籍)**に基づいて客観的に証明する必要があります。
⑴ 被相続人の死亡確認と届出
まずは法的な死亡の手続きが必要です。
➀ 死亡届の提出
死亡を知った日から7日以内(国外の場合は3か月以内)に市区町村役場へ提出します。
➁ 火葬許可証の取得
死亡届と同時に申請します。
③ 死亡診断書(死体検案書)の保管
後の年金手続きや生命保険の請求に必要となるため、コピーを複数取っておきましょう。
⑵ 「出生から死亡まで」の戸籍謄本等の収集
ここが最も手間のかかる作業です。
現在の戸籍だけでは、過去の婚姻や養子縁組、認知した子供の有無が判明しません。
収集すべき書類
➀ 被相続人のすべての戸籍
除籍謄本、改製原戸籍、戸籍謄本を出生まで遡って取得。
➁ 相続人全員の現在戸籍
相続人が生存していることの証明。
③ 住民票の除票・附票
登記手続き等で、戸籍上の本籍地と最後の住所地を紐付けるために必要です。
※注意点
転籍や婚姻が多い場合、本籍地の役所ごとに郵送等で取り寄せる必要があり、完了まで数週間から1か月以上かかることも珍しくありません。
⑶ 相続関係の整理と読み解き
集めた戸籍を読み解き、法律上の優先順位(法定相続分)に沿って整理します。
➀ 配偶者
常に相続人となります。
➁ 第1順位
子(子が亡くなっている場合は孫などの代襲相続人)。
③ 第2順位
直系尊属(父母や祖父母)。第1順位がいない場合に発生。
④ 第3順位
兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)。第1・第2順位がいない場合に発生。
⑷ 相続関係説明図の作成
戸籍の内容を家系図のようにまとめた「相続関係説明図」を作成します。
・メリット
金融機関や法務局への提出時に、戸籍の原本を還付(返却)してもらいやすくなります。
また、法務局で「法定相続情報一覧図」の写しを取得しておくと、その後の手続きが格段にスムーズになります。
⑸ 相続放棄・限定承認の有無を確認
相続開始を知った日から3か月以内に、借金などの負の遺産を含めて引き継ぐかどうかを判断します。
※相続放棄
家庭裁判所での手続きが必要です。
相続放棄申述受理証明書を取得することで、その人は最初から相続人ではなかったものとして扱われます。
2.特に注意が必要なケース
以下のような場合は、戸籍の収集範囲が広がり、確定までに非常に時間がかかります。
⑴ 子供がいない夫婦
亡くなった方の親や、兄弟姉妹(甥・姪)まで調査範囲が及びます。
⑵ 先代の相続が未了
数代前の名義のままの場合、数10人の相続人が現れることがあります。
⑶ 離婚・再婚歴がある
前妻・前夫との間の子供も常に第1順位の相続人です。
まとめ

