はじめに
遺言書を書いても「不公平だ」と家族が揉めてしまうケースは少なくありません。
それを防ぐ鍵が、法的な効力はなくても心に響く「付言事項」です。
円満な相続を実現するための言葉の力を、事例を交えて詳しく解説します。
1.なぜ「数字」だけでは不十分なのか?
法律に基づいた遺言書は、誰に何を相続させるかという「結果」のみを記します。
しかし、残された家族が知りたいのは「なぜその配分になったのか」という理由(背景)です。
理由がわからないと、相続人は「自分は愛されていなかったのか」「不当な扱いを受けた」と感情的なしこりを残し、それが「争族」へと発展してしまいます。
ここで力を発揮するのが、遺言書の最後に書き添えるメッセージ、「付言事項(ふげんじこう)」です。
2.心に響く「付言事項」の具体例
事例1
介護をしてくれた長女に多く残したい場合
「長女の〇〇には、私が病気になってから今日まで、献身的に支えてもらったことに深く感謝しています。
その負担に報いるため、自宅を彼女に託すことにしました。
長男の〇〇、次男の〇〇も、どうか姉の苦労を理解し、仲良く協力して生きていってください。」
・ポイント
「感謝」を言葉にすることで、他の兄弟が納得感を得やすくなります。
事例2
事業を継ぐ長男に株式を集中させる場合
「長男の〇〇に全ての株式を譲るのは、会社の存続と従業員の生活を守るためです。
他の子供たちには不公平に見えるかもしれませんが、父さんが生涯をかけた仕事を繋いでいく決断だと理解してほしい。
皆が私の自慢の子供であることに変わりはありません。」
・ポイント
「不公平の理由」を論理的かつ情熱的に説明し、対立の芽を摘みます。
3.行政書士から見た「付言事項」の価値
私たち行政書士は、法的に有効な書面を作成するのが仕事ですが、同時に「ご家族の幸せな未来」を守ることも使命だと考えています。
付言事項には、以下のような内容を盛り込むのが効果的です。
➀ 感謝の言葉
家族への素直な「ありがとう」。
➁ 配分の理由
特定の人に多く残す、あるいは少なくする明確な意図。
③ 葬儀や納骨の希望
遺族が迷わないためのガイド。
④ 家族への願い
「いつまでも仲良く」という最後のリクエスト。
まとめ
相続を「争族」にしないのは、完璧な数字ではなく、遺言者の温かい「言葉」です。
付言事項を添えることで、あなたの想いはより深く家族へ届きます。墨田区の当事務所では、心まで通い合う遺言書作成をサポートいたします。

