はじめに
ご家族の将来や財産管理、万が一の備えについて、口約束のままにしていませんか。
行政書士は「予防法務の専門家」として、
争いのない円満な家族関係を法的に支える契約書や合意書の作成を行っています。
公正証書にしておくことで、将来のトラブルを未然に防ぐ確実な効力を持たせることができます。
本記事では、
行政書士が作成できる代表的な家族向け契約書の種類や具体的な活用場面について詳しく解説します。
1.高齢期の生活と財産管理を支える契約書
高齢化に伴う認知症や体調悪化のリスクに備え、ご自身が元気なうちに信頼できる家族へ管理を託すための契約書です。
⑴ 財産管理等委任契約書
判断能力はあるものの、足腰が弱くなって銀行や役所へ行くことが難しい場合に、
預貯金の管理や生活費の支払いを家族へ委託する契約です。
① 主な委任事項
・公共料金や家賃の支払手続き
・預貯金口座の管理および生活費の払戻し
・介護保険サービスや医療機関の契約手続き
・実例 一人暮らしの親が、近隣に住む長男へ日常的な通帳管理や生活費の引き出しを任せるために書面化し、
親族間の使途不明金トラブルを防ぐケースがあります。
⑵ 任意後見契約書
将来、認知症などで判断能力が不十分になった場合に備え、
あらかじめ代理人(任意後見人)と支援内容を決めておく契約です。
公証役場で公正証書により作成することが法律で義務付けられています。
⑶ 死後事務委任契約書
亡くなった直後の葬儀、埋葬、遺品整理、賃貸住宅の解約手続きなど、
相続手続きとは別個に発生する実務を第三者や特定の家族に託す契約です。
⑷ 見守り契約書
任意後見が開始するまでの間、定期的な面談や電話連絡を通じて健康状態や生活状況を把握するための契約です。
2.夫婦・親子関係に関する契約書
家族のライフステージの変化に伴い、権利義務関係を明確にして生活の平穏を保つための契約書です。
⑴ 婚姻生活費用分担契約書
・夫婦財産契約書 夫婦間における生活費(婚姻費用)の分担額や、
婚姻前から所有する財産の帰属を明確にしておくための合意書です。
⑵ 離婚協議書(合意書)
夫婦間で離婚の合意が成立している場合に、離婚後のトラブルを防ぐために作成する契約書です。
争訟性がない円満な合意を書面化します。
① 定めるべき重要項目
・未成年の子の親権者および養育費の金額・支払期日
・面会交流の頻度や方法 ・財産分与および慰謝料の支払い条件
・年金分割に関する合意事項
・実例
養育費の未払いを防止するため、行政書士が文案を作成し「強制執行認諾文言」付きの公正証書として仕上げることで、裁判を経ずに差し押さえ等の手続きが可能になります。
⑶ 親族間金銭消費貸借契約書
親子間や兄弟姉妹間でお金の貸し借りを行う際に交わす契約書です。
税務署から「みなし贈与」と判断されて贈与税が課税されるリスクを防ぐため、返済期日や利息、返済口座を明記します。
3.資産承継・ペット飼育に関する契約書
⑴ 家族信託(民事信託)契約書
保有する不動産や預貯金の管理・処分権限を信頼できる家族に託し、
本人が認知症になった後でも不動産の売却や修繕を柔軟に行えるようにする仕組みです。
行政書士は信託契約書の原案作成を行います。
⑵ 遺産分割協議書
被相続人が亡くなった後、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、
合意した内容を法的に証明する書類です。
不動産の相続登記や銀行口座の解約・名義変更に必須となります。
⑶ ペットの飼育委任契約書(負担付贈与契約書)
飼い主が高齢や病気で飼育できなくなった際、
ペットの飼育費用と引き換えに新たな飼い主へ世話を任せる契約書です。
4.行政書士が作成できる主な家族向け契約書の比較
契約書の種類 |
主な目的 |
作成形式の推奨 |
主な活用場面 |
財産管理等委任契約書 |
判断能力低下前の生活・財産管理 |
公正証書または私署証書 |
通院や日常の支払いが困難になったとき |
任意後見契約書 |
認知症発症後の身上保護と財産管理 |
公正証書(法定要件) |
将来の判断能力喪失への事前準備 |
死後事務委任契約書 |
葬儀・供養・住居引き渡し等の代行 |
公正証書 |
単身高齢者や親族に負担をかけたくないとき |
離婚協議書 |
養育費や財産分与の確実な履行担保 |
公正証書(強制執行受諾文言付) |
協議離婚が整った際の合意事項の書面化 |
家族信託契約書 |
柔軟な資産管理と将来の資産承継 |
公正証書 |
実家の売却凍結防止や収益物件の管理委託 |
親族間金銭貸借契約書 |
親子間の金銭貸借の明確化・贈与税対策 |
確定日付入り私署証書または公正証書 |
住宅購入資金等の親族間借入 |
まとめ
家族間であっても、口頭の約束だけでは誤解が生じやすく、
思いがけない争いに発展することがあります。
元気なうちから法的な契約書を作成し、必要に応じて公正証書にしておくことが、
大切なご家族の将来を守る最善の備えとなります。
当事務所では、墨田区、葛飾区、江東区、江戸川区、台東区など城東地区をメインに、
近郊エリアの皆様からの家族法務のご相談を承っております。
どうぞお気軽にご相談ください。

