行政書士 佐野徳司 RTT行政書士事務所

最新民法改正を踏まえた離婚協議書作成の手引きと行政書士がサポートできる業務

はじめに

 

夫婦間で離婚の話がまとまっても、養育費や財産分与、親権などの条件を口約束だけで済ませてしまうと、後日大きな金銭トラブルや親子のすれ違いにつながる恐れがあります。

 

特に近年は共同親権の導入や養育費の先取特権といった重要な民法改正が行われており、取り決めを正確に文書化することの重要性が一段と高まっています。

 

行政書士が法的に有効な書面作成や公正証書化をどう支援できるのか、具体的な条項例を交えて詳しく解説します。

 

1.近年の民法改正が離婚協議書に与える大きな影響

 

⑴ 離婚後共同親権の選択と日常的監護の定め

 

民法改正により、離婚後の親権について従来の「単独親権」だけでなく、

父母双方が親権を持つ「共同親権」の選択が可能となりました。

 

共同親権を選択する場合は、子どもの進学や転居などの重要事項の決定方法に加え、

どちらが日常的な身の回りの世話(監護)を担うのかを明確に合意しておく必要があります。

 

⑵ 養育費に関する新制度と先取特権

 

養育費の不払いを防ぐための手当てとして、要件を満たした離婚協議書(私文書)がある場合に、

一定額まで公正証書がなくても差し押さえ手続きを進めやすくなる先取特権の付与や、

取り決めがない場合の法定養育費制度が設けられました。

 

ただし、より確実な回収や長期の安心を確保するためには、

依然として公正証書(強制執行認諾文言付き)を作成しておくことが実務上強く推奨されます。

 

⑶ 財産分与の除斥期間の延長

 

離婚に伴う財産分与の請求期間が、従来の「離婚時から2年以内」から「5年以内」へと伸長されました。

 

期間に余裕が生まれた一方、年数が経つほど財産の特定や評価が難しくなるため、

離婚の合意と同時に離婚協議書で清算内容を確定させることが極めて大切です。

 

 

2.行政書士が支援できる具体的な業務範囲

 

⑴ 離婚協議書の作成

 

夫婦間で円満に合意した離婚条件(親権、養育費、親子交流、財産分与、慰謝料、年金分割など)をもとに、

法的な不備がない有効な契約文書として起草・整理します。

 

⑵ 公正証書の作成支援

取り決めた協議書をもとに、公証役場へ提出する公証人文案の作成や、

公証人との事前打ち合わせ・文案調整を代行・サポートします。

 

⑶ 年金分割や各種申請書類の準備サポート

 

年金分割のための情報提供請求書や離婚届の書き方案内、行政窓口での各種手続きに関する書類作成補助を行います。

 

⑷ 業務における留意点(弁護士法との境界)

 

行政書士は当事者間で合意に達している内容を書面化する専門家です。

 

相手方との条件交渉や、争いがある案件の調停・裁判代理を行うことはできません。

(これらは弁護士業務となりますので提携先の信頼のある弁護士へ引き継ぎます。)

 

円満に条件が整っている場合の予防法務としてご活用いただけます。

 

 

3.離婚協議書に盛り込む主な条項例

 

⑴ 共同親権および監護者指定の条項例

 

【記載例】

第〇条(親権及び監護者の指定)

 

➀ 甲及び乙は、長男〇〇(令和〇年〇月〇日生。以下「丙」という。)の親権者を、甲及び乙の双方と定める。

 

➁ 丙の監護者を乙と定め、丙の日常的な監護および身の回りの養育は乙が行うものとする。

 

⓷ 丙の進学、転居、長期留学、および医療に関する重大な決定については、

甲及び乙が誠実に事前協議を行って定めるものとする。

 

⑵ 養育費の支払いに関する条項例

 

【記載例】

第〇条(養育費)

 

➀ 甲は乙に対し、丙の養育費として、令和〇年〇月から丙が満22歳に達した後の最初の3月まで、

1か月あたり金〇万円の支払義務があることを認め、毎月末日限り、乙の指定する預金口座に振り込んで支払う。

振込手数料は甲の負担とする。

 

➁ 丙の高校・大学等への進学費用、または重病等の特別な出費が生じた場合は、

甲乙協議のうえ、別途負担額を定める。

 

⑶ 親子交流(旧面会交流)に関する条項例

 

【記載例】

第〇条(親子交流)

 

乙は、甲が丙と定期的に面会および交流(直接対面のほか通話やメッセージのやり取りを含む)を行うことを認める。

具体的な日程、場所、方法については、丙の心身の健康と生活環境を最優先に考慮し、

甲乙が協議して円滑に実施する。

⑷ 財産分与および清算条項の例

 

【記載例】

第〇条(財産分与)

 

甲は乙に対し、婚姻期間中の共有財産の清算として、

金〇〇万円を令和〇年〇月〇日までに乙名義の指定口座に一括して振り込む方法により支払う。

第〇条(清算条項)

甲及び乙は、本協議書に定めるもののほか、互いに何らの債権債務が存在しないことを相互に確認し、

名目の如何を問わず今後相手方に対して何らの財産上の請求をしないことを約する。

 

まとめ

 

離婚後の生活再建や大切なお子様の将来を守るためには、

最新の法律知識に沿った正確な取り決めを書面に残すことが欠かせません。

 

合意内容が曖昧なまま離婚届を提出してしまうと、

後からの取り決め直しには大変な労力を伴います。

 

行政書士法に基づく厳格な守秘義務のもと、

お二人の合意内容を分かりやすく確実な書面に整え、公正証書化まで丁寧にお手伝いいたします。

 

離婚協議書など権利義務や事実証明に関する書類作成についてご相談のある方は

 

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