はじめに
最近、民泊から旅館業へ転換したいとの依頼が多く来ています。
東京都でももともと厳しい上乗せ条例がある文京区で、
旅館業の上乗せ条例をさらに強化する動きが本格化しています。
国の緩和に反し、無人ホテルを事実上排除する厳しい内容です。
法改正のスケジュールや行政書士の視点から見た実務への影響を徹底解説します。
1. 規制強化の主な内容(改正骨子案のポイント)
今回の改正は、国の基準(玄関帳場・フロントの設置緩和)を否定し、
「ミニホテル・無人ホテルの全面禁止」へ舵を切る内容になっています。
➀ フロント(玄関帳場)の設置およびスタッフ常駐の義務化
国の現行基準では、ICT機器等によるチェックインや
「10分以内の駆け付け体制」があればフロントなし(無人)でも営業可能ですが、
文京区ではフロントの設置とスタッフの常駐を必須とします。
➁ フロント内に「スタッフ用トイレ」の設置を義務化
施設構造の面からもハードルを上げ、
ワンルームマンションのコンバージョン(用途変更)等による小規模な宿泊施設を物理的に排除する狙いが見えます。
③ 海外在住オーナーへの代理人選任義務化
投資家やオーナーが国外居住者である場合、国内居住の代理人を定めることを義務付け、責任の所在を明確化します。
2. 2026年の今後のスケジュール
現在は議会可決に向けた「骨子案の提示」段階にあり、
これから夏から秋にかけて正式な条例改正手続きが進められます。
➀ 2026年6月1日~30日
パブリックコメント(区民意見募集)の実施
➁ 2026年6月議会(15日の厚生委員会等)
改正骨子案の正式報告
③ 2026年9月議会
条例改正案の提出・可決
④ 施行時期
秋以降(可決後、速やかに施行される見通し)
3.背景 なぜ今、旅館業がターゲットなのか
文京区はもともと民泊(住宅宿泊事業法)に対して
「住居専用地域や文教地区では、
月曜正午~金曜正午まで営業禁止(=実質、週末しか稼働できず年104日程度)」という
23区トップクラスに厳しい上乗せ条例を敷いています。
しかし、この民泊規制を回避するために、「旅館業(ホテル・旅館営業)の許可」
を取得して365日フル稼働させる無人のミニホテル(フロントなしホテル)が急増しました。
文京区内の全63施設のうち、実に23施設(約3割強)がすでにフロントなしの状態で運営されています。
近隣住民からの苦情や生活環境の悪化を懸念した区が、
民泊の穴を塞ぐために「旅館業そのもののハードルを極限まで上げる」という強硬策に出たのが今回の真相です。
4.実務上の注意点(経過措置と遡及適用の有無)
今後のパブリックコメントや9月議会の動向で最も注視すべきは、「既存のフロントなし施設への経過措置がどうなるか」です。
近隣の豊島区や新宿区などの民泊規制強化では、既存施設への遡及適用(猶予期間後の強制適用)が波紋を呼びました。
文京区の既存の23施設がどう扱われるかは、今後の事業継続を大きく左右します。
城東エリア(墨田区など)や周辺区の事業者からも「文京区方式」の追従を警戒する声が上がっており、今後の推移が注目されます。
まとめ
今回の文京区の規制強化は、周辺の自治体や今後の民泊・ホテル開発のビジネスモデルにも大きな影響を与える可能性があります。
既存施設への経過措置など、2026年9月議会に向けた今後の動向を注視していきましょう。

