はじめに
テキサスホールデムなどのポーカーやカジノゲームの人気が高まり、アミューズメントカジノやポーカーバーの開業相談が急増しています。
しかし、これらの店舗は刑法の賭博罪や風適法、食品衛生法など複数の法律が複雑に絡み合い、警察の指導や取り締まりが非常に厳しい分野です。
一歩間違えると無許可営業や賭博罪で摘発される恐れがあります。今回は、適法に店舗を運営するための法的ルールと手続きを網羅して解説します。
1.刑法(賭博罪・賭博開帳図利罪)に抵触しないための鉄則
⑴財産上の利益の授受および換金の絶対禁止
➀金銭・有価証券への直接換金の禁止 ゲームの結果によって得たチップやポイントを現金に換金することや、客同士で金銭を賭けさせる行為は、刑法第185条(賭博罪)および第186条(常習賭博・賭博開帳図利罪)に違反し、店舗側も即座に摘発対象となります。
➁賞品・ギフト券・サービス等の提供禁止 余ったチップや勝利ポイントを、Amazonギフト券、貴金属、家電製品、高級酒、飲食代の割引券などに交換する行為も「財産上の利益」を提供したとみなされ、賭博罪が成立します。
2.風適法に基づく営業形態と必要な許認可の選択
⑴営業時間やサービス内容に応じた許可の使い分け
➀特定遊興飲食店営業許可 深夜0時以降もお酒を提供しながら、ディーラーが進行役を務めたりトーナメントを開催したりして店側が客に遊興をさせる場合に必要です。営業可能な用途地域が商業地域などに限られ、学校や病院等の保全対象施設からの距離制限、10ルクス超の照度基準をクリアする必要があります。
➁風俗営業5号許可(ゲームセンター等) スロットマシンやメダルゲーム機等の遊技設備を設置して客に遊技をさせる形態です。日中から深夜0時(地域により午前1時)までの営業となり、深夜0時以降の営業は一切できません。
➂深夜酒類提供飲食店営業(届出) 深夜0時以降もお酒をメインに提供する飲食店です。店側がディーラーを配置して客に遊興を提供することはできず、店員がゲームを仕切ったり盛り上げたりすると「無許可特定遊興」と判断されるリスクがあります。
➃風俗営業1号許可(接待飲食等営業) キャストやディーラーが特定のお客様の隣に座って談笑したり、一緒にお酒を飲んで特定の客をもてなす「接待行為」を行う場合に必要です。原則として深夜0時以降の営業はできません。
3.店舗実務とその他の関連法規に関する重要ポイント
⑴チップ管理・大会運営・保健所手続きの徹底
➀チップバンク管理の徹底 余ったチップは店舗内の「預かり(チップバンク)」として次回以降のゲームにのみ利用させ、店外への持ち出しや第三者への譲渡・売買を厳格に禁止する運用体制を整える必要があります。
➁トーナメント・賞品と景品表示法・刑法の関係 大会で海外遠征費補助などのプライズを出す場合、客から集めた参加費を賞金原資に充てると賭博罪に問われます。また、賞品の提供形態によっては景品表示法上の懸賞規制をクリアしている必要があります。
➂飲食店営業許可(食品衛生法) お酒や軽食を提供するすべての店舗で、保健所からの飲食店営業許可の取得および食品衛生責任者の配置が必須となります。
おわりに
アミューズメントカジノやポーカーバーの運営は、「他店もやっているから」という安易な模倣が最も危険です。
用途地域や物件の構造、遊興や接待の該否など、専門的な事前調査を怠ると多額の開業資金が無駄になりかねません。
安心して長く愛されるクリーンな店舗を開業するためにも、物件契約や内装工事に着手する前の初期段階で、行政書士へご相談いただき、確実な適法ルートを整えましょう。

