はじめに
風俗営業許可を取得した店舗で、「客席を増やしたい」「VIPルームを作って単価を上げたい」
といった理由から内装工事を検討されるオーナー様は多くいらっしゃいます。
しかし、風営法では店内の構造や設備を少し変更するだけでも
厳格な手続きが義務付けられています。
無断で改装を行うと、営業停止などの行政処分を受ける恐れがあります。
今回は、店舗改装時に見落としがちな基準と手続きの落とし穴を具体的に解説します。
1.店舗改装やレイアウト変更時の「変更承認申請」の落とし穴
⑴ 客室の見通しを妨げる設備や照度基準
➀ パーティション設置やVIPルーム新設で引っかかりやすい1メートル基準
風俗営業(1号営業など)では、客室内に「見通しを妨げる設備」
を設けてはならないという厳格なルールがあります。
・具体例として、プライベート感を出すために高さ120cmのパーティションや
背の高いハイバックソファを設置した場合、
床から高さ1メートル以上の遮蔽物とみなされ違反になります。
・VIPルームを新設してドアや壁で完全に仕切ると「独立した別客室」扱いとなり、それぞれの客室が床面積の基準(1号営業なら和風客室1室9.5平米以上、洋風客室1室16.5平米以上。1室のみの場合は基準なし)を満たさなければ許可されません。
・照明器具を調光器付き(スライダックス等)に交換したり、暗めの間接照明に変更して客室内の照度が基準(5ルクス超など)を下回ることも厳禁です。
➁ 変更届で足りるケースと事前の変更承認が必要なケースの違い
内装工事の規模や内容によって、事前の承認が必要な工事と、事後の届出で済む軽微な変更に明確に分かれます。
・事前の「変更承認申請」が必要なケース 客室の位置・数の変更、客室床面積の増加や減少、壁や間仕切りの新設・撤去、大規模な模様替えなどです。
この場合、工事着工前に警察署へ申請し、公安委員会の承認を受けてから工事・使用を開始しなければなりません。
・事後の「変更届出」で足りるケース 壁紙(クロス)の張り替えや同規模・同位置のテーブル交換、軽微な設備の修繕などは、工事完了後速やかに(通常10日以内程度)変更届を提出することで足ります。
・事前の承認を得ずに勝手にVIPルームや壁を作ってしまうと「無承認変更」となり、最悪の場合は許可取消や営業停止処分につながります。
2.適法にリニューアル工事を進めるための実務手順
⑴ 工事計画段階での警察協議と図面作成
➀ 平面図・求積図による1メートル基準や客室面積の再確認 工事会社の発注前に、
風営法の基準を満たした新図面を作成して問題がないか精査します。
➁ 着工から検査・承認までのスケジュール確保 変更承認には審査期間がかかるため、
リニューアルオープン日から逆算したスケジュール管理が必須です。
おわりに
店舗のリニューアルは売上アップの大きなチャンスですが、風営法上の手続きを軽視すると、
せっかくの改装が無駄になったり営業ができなくなったりする致命的なリスクを伴います。
工事を行ってから「知らなかった」では手遅れになります。
内装業者へ発注する前やデザインが決まった段階で、
ぜひ風営法実務に詳しい行政書士へご相談いただき、
確実で安全なリニューアル計画を進めていきましょう。

