はじめに
昨年暮れに亡くなった私の母も最期の2年間は特別養護老人ホームのお世話になりました。
そこで実感したことは、高齢者施設への入居時には、施設選びだけでなく「契約手続き」や「将来の財産管理」への法的な備えが不可欠ということです。
行政書士の視点から、施設の種類や申込方法、今すぐ始めるべき安心の終活対策を分かりやすく解説します。
1.高齢者施設の種類は大きく分けて2種類
高齢者施設は、国や自治体が運営に関わる「公的施設」と、民間企業が運営する「民間施設」に大別されます。まずはこの2つの違いを把握することが大切です。
2.【公的施設】の特徴・費用・入居条件
費用が比較的安く、安心感があるのが特徴です。
➀ 特別養護老人ホーム(特養)
重度の介護が必要な方向けの施設。
➁ 介護老人保健施設(老健)
在宅復帰を目指し、リハビリを行う施設。
③ ケアハウス(軽費老人ホーム)
自立~軽度の方向けの低料金施設。
3.【民間施設】の特徴・費用・入居条件
サービスや設備が充実しており、選択肢が幅広いのが特徴です。
➀ 有料老人ホーム
「介護付」「住宅型」「健康型」があり、状態に合わせて選択可能。
➁ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリーの賃貸住宅で、安否確認や生活相談が受けられる。
③ グループホーム
認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設。
4.施設選びの3大チェックポイント
➀ 心身の状態
要介護度や医療ケアの必要性。
➁ 予算・費用
入居一時金(初期費用)と月額費用のバランス。
③ 立地と環境
家族が面会に行きやすいか、周辺環境は静かか。
5.高齢者施設の具体的な申込方法・流れ
➀ 公的施設の場合
地域の地域包括支援センターやケアマネジャーを通じて、市区町村に申し込む(特養などは入居待機になることが多い)。
➁ 民間施設の場合
各施設へ直接問い合わせ、資料請求や見学・体験入居を経て直接契約する。
6.高齢者施設の申込方法と「身元保証人」の壁
➀ 申込の流れ
資料請求から見学、必要書類(診断書など)の提出、面接を経て契約となります。
➁ 行政書士の視点
多くの施設では入居時に「身元保証人・身元引受人」を求められます。頼れる親族がいない、あるいは迷惑をかけたくないという場合、行政書士が契約によって身元保証のサポートを担うことが可能です。
7.入居手続きと同時に進めるべき「2つの財産管理対策」
認知症などで判断能力が低下すると、施設の入居契約を結んだり、入居費用のために自宅を売却したりすることが法律上できなくなります。
そうなる前に、行政書士がトータルサポートできる法律の手続きです。
① 任意後見制度の活用
将来、認知症などで判断能力が衰えたときに備え、あらかじめ信頼できる人(または行政書士などの専門家)に、施設の入居契約や財産管理の権限を委任しておく公的な契約です。
② 民事信託(家族信託)の活用
元気なうちから特定の財産(自宅や施設入居用の資金など)の管理・処分権限を家族に託す仕組みです。
「実家を売却して老人ホームの費用に充てたい」といった計画を、認知症発症後でもスムーズに実行できます。
8.施設入居を機に整理する「遺言・終活サポート」
施設への入居は、これまでの生活を一度整理する絶好のタイミングです。
・ 遺言書の作成
残された財産を誰に引き継ぐかを明確にし、家族間のトラブルを未然に防ぎます。
まとめ
納得のいく施設選びと同時に、任意後見や民事信託による「法律の備え」をしておくことで、将来の安心感は格段に変わります。
契約や財産管理のことで少しでも不安があれば、ぜひ街の法律家である行政書士にご相談ください。

