はじめに
認知症や障害などで判断能力が不十分になった際、本人の権利と財産を守るのが「成年後見制度」です。
利用を検討する上で知っておきたい「法定後見」と「任意後見」の違いや、手続きの流れをわかりやすく紐解いていきます。
成年後見制度の詳しい仕組み
1.「法定後見」と「任意後見」の違い
成年後見制度には、大きく分けて2つの種類があります。
➀ 法定後見(判断能力が低下した後に利用)
家庭裁判所が後見人を選びます。本人の状態に応じて「後見」「保佐」「補助」の3段階に分かれます。
➁ 任意後見(判断能力があるうちに準備)
元気なうちに、将来誰に何を頼むかを自分で決めて契約しておく仕組みです。
2.成年後見人ができること
後見人は、主に以下の2つの役割を担います。
➀ 財産管理
預貯金の管理、公共料金の支払い、不動産の管理、遺産分割協議の参加など。
➁ 身上保護
介護施設の入所契約、医療契約の手続き、要介護認定の申請など(※事実行為としての介護そのものは含みません)。
3.利用前に知っておくべき注意点(デメリット)
メリットだけでなく、以下の点も考慮して検討する必要があります。
➀ 一度始めると原則辞められない
本人の判断能力が回復するか、亡くなるまで継続します。途中で「やっぱり身内で管理したいから辞める」ということはできません。
➁ 財産の利用が制限される
財産は「本人のため」にしか使えません。親族への贈与や、積極的な投資、相続税対策などは原則として認められなくなります。
③ ランニングコストが発生する
親族ではなく弁護士や行政書士などの専門職が後見人に選ばれた場合、月額2万円〜6万円程度の報酬が発生し続けます。
まとめ
成年後見制度は、本人の生活と権利を守るための強力な公的制度です。
一方で、柔軟な財産運用が難しくなる側面もあります。
制度の特性を正しく理解し、任意後見や家族信託など他の手法と比較しながら準備を進めましょう。

